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Pilgrimage

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Pilgrimage / Wishbone Ash (1971)

初めに断っておくと、このバンドのイメージといえばいわゆるハードロックというジャンルから浮かぶアレそのもので、ハードロックという言葉を聞くだけで激しい動悸や息切れが止まらなくなり、おもむろに戸棚の奥に隠してある薬用養命酒に震える手を伸ばしてしまうようなアシッドフォークジャンキーの僕には縁遠いバンドのはずでした。

それが、2008年の秋頃、大学時代の後輩で卒業後に漬物屋に就職した佐々木君と一緒に泥のように酔っぱらった折り、奴が鼻息荒くかつ呂律の回らない口調で「このアルバムがすごいんですよ!」と聴かせてくれたアルバムこそこのPilgrimage(邦題:巡礼の旅)であり、この日を境に僕は薬用養命酒片手に楽しく聴けるハードロックがあることを知ります。

さて、ハードロックハードロックと散々嘯いてきましたが、そもそもこのバンドをハードロックで括ることに無理があるんです。

とりあえず騙されてみてアルバム1曲目のこれ↓をうっかり聴いてみてください。


いかかでしょうか?このわけのわからなさ※1
とりあえず、この馬鹿みたいに動くベースラインを弾きながら馬鹿みたいに眉間に皺を寄せて馬鹿みたいな高速スキャットを繰り出す姿がどう見ても馬鹿みたいで、どうしても嫌いになれません。
確かにアンディ・パートリッジをコンポストで腐らせたような外見のギターの人はフライングVを馬鹿みたいにギャアギャアやっているのでハードロックといえばハードロックなんでしょうが、ハードロック以外の言葉でも言い表せそうであり、そちらの方がむしろ座りが良さそうな気さえしてきます。だけども、ハードロックでなければ一体何なのか、よくわからないんです。

続いて、アルバム2曲目。

いかがでしょうか?この前半部の音響派路線からの突然のポストロックぶり。さらにわけがわからなくなってきますね。しかし、ぼんやりと聴いていると妙に馬鹿っぽい、馬鹿っぽいんです。ハードロックの切り口からこのバンドを俯瞰するより、あっち側からじわじわと来るようなこの妙な馬鹿っぽさを噛みしめた方がおもしろい気がしてくる。妙に。
いわゆるところの様式美のようなものと距離を置き、ある程度の自由度の高さを演奏に持ち込むセンスと表現力の礎たる演奏力そのものの安定感。そのバランスが若干自由度の方に崩れているからこそ、この妙な馬鹿っぽさが滲み出てきているんだと思いますね僕は。※2


なお、このアルバムは、ざっくり大分すると3つの系統の曲に分類できます。
①なんだかおもしろみの感じられない元気なブルースロック調
②しみじみ系
③なんだかよくわからない曲

アルバムの3曲目をあえて紹介しないのはそれが上記①のタイプの曲だからですが、一般的にこのバンドのファンのオヤジからは3曲目こそ評価されているフシがあり、その路線をメインに据えてギターロックの様式美とポップの両立に向けて突っ走った次作「Argus(邦題:百眼の巨人アーガス)」こそ名盤として名高く、だからこそ個人的にはなんだかモヤモヤとしてしまいます。雨の日は嫌いじゃあないけど梅雨は嫌だとか、そんな感じです。主婦風に例えると。


<まとめ>
「ハードロックは嫌いだけど、Wishbone Ashは許せる。なぜなら馬鹿っぽいから。」というのは、「仏教は嫌いだけど、瀬戸内寂聴の著書は好き。なぜなら下世話だから。」と言っているようなもので、音楽や宗教に興味がない方からすればそんなもん知らんがな、という話だし、ハードロック好きな方や生粋の寂聴ファンからはなにトンチンカンなこと言ってんの?殺すよ?浄土に送るよ?と怒られるかもしれません。
僕は殺されたくはないし、個人的には、2008年以降音信不通になってしまった佐々木君がきちんと生きているのか、そこのところの方がどちらかといえばすごく気になるんですが、かつて泥のように酔いながら「フランクザッパが夢に出てきて、『俺のアルバムを全部集めたらお前は死ぬ』と囁かれた」と喜んでいた奴のこと、きっとどこかの場末でフラフラとしているんでしょうね。

寝ます。


※1 この曲、実はカバーです。原曲↓


※2 ここ何年か、頭の回線が混線してしまったせいで馬鹿っぽさをかっこいいものと捉えてしまいがちになってきていますが、そんな自分にとってこの1年で最も衝撃的だった動画がこれです。↓
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コメント

Oyadorobou様 こんばんは

ウィッシュボーン・アッシュはその時々で音楽性を変えており、
初期はプログレと言っていいですね。
(※自分は「Argus」での泣きのツインリードギターが大好きなのですが、初期のこの感じも好きですよ、ファーストもいいですよね)

このアルバムを昔(後追いですけれども)聴いていた頃はブラザー・ジャック・マクダフなんて知りませんでしたが、今は家にcdがあります。実はカバーだなんて気づかなかったので
後で聴いてみます。いい情報をありがとうございます。

  • 2015/03/06(金) 01:28:04 |
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