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ささくれた名盤などについてのメモ他

Lupa

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Lupa / Palais Schaumburg (1982)

まさに、学級委員の逆ギレのような音。

80年代初頭のイギリスでは、パンクの精神が形骸化しその前衛的な表現姿勢だけが持て囃されてニューウェーヴという泡のようなムーブメントが勃発。たくさんのバンドが、まるで欽ちゃんの仮装大賞のようなノリでアイデア一発勝負な音楽を次々と「発明」してはすぐに廃れ、大量消費時代の闇に消えていったのでした。

そんな中、元祖前衛ロックバンド発祥の地ドイツのバンドたちも、持ち前のクラフトマンシップを存分に発揮し、インプロヴィゼーション主体の観念的な音楽からテクノポップを主体としつつも踊れるボディビートへと舵を切っていきます。
Palais Schaumburgもそのような流れの中から第一線に躍り出たバンドであり、Flying Lizardsのデヴィッド・カニンガムをプロデューサーに迎えた1stアルバム「Palais Schaunmburg」をリリースし、ギターレスかつ踊れるようで踊らせない斜に構えた痙攣サウンドが不穏な時代に受け入れられたのでした。

しかし、1stアルバムを発表した後に、リーダーであったボーカリストのホルガー・ヒラーがあっさりと脱退。フロントマンであり曲作りの支柱を失ったバンドは岐路に立たされます。そんな大変な混乱の中、この2ndアルバム「Lupa」は発表されました。



この動画の曲はこのアルバムの表題曲ですが、どうでしょうかこのいかにもアホっぽい音。
僕は大好きです。なぜなら、アホっぽいからです。この曲だけでなく、全曲が安定してアホっぽい。これこそ名盤です。なぜ名盤だと言えるかといえば、全曲がもれなくアホっぽいからです。

普通、フロントマンを失ったバンドというものは統制を無くし、その後グダグダとしたペラッペラなアルバムをリリースするのが常です。
ところが、このアルバムにおいては、フロントマンの不在感をいかにもアホっぽい音と突飛なアレンジで埋めるというウルトラCな離れ業に成功しており、前作の不穏な音の延長線上にありながらも質感の異なる表現に着地しました。

とはいえ、どことなく「勢いでやっちまえ!」的な開き直りも感じさせますが、ギターレスな構成により音に誤魔化しが効かず、結果的に緻密に練り込んだ音となっているのがまた印象深い点です。つまり、自分で自分の首を絞めたんですね。そういうところ、いかにも生真面目なドイツ人らしくて嫌いになれませんね。


ああ!せせこましい!!

このアルバムは、2nd以降のA Certain Ratio、それに2nd以降のGang of fourがフィットするような方に強くおすすめします。音の感触としては同路線のそれらのバンドが2nd以降、誰も求めてもいない女性ボーカルを取り入れたり、どうでもいいダンスミュージックに走ってみたりと、まさに珍走を続ける様をヘラヘラと聴けるのであれば、このアルバムもきっと楽しめることでしょう。

くれぐれもGang of fourの1stアルバム第一主義の方にはおすすめしません。くれぐれもおすすめしませんよ!

※ Joy Divisionの「Closer」からNeworderの「Movement」への流れを思い出すと非常にわかりやすいものです。あの静謐な音から試行錯誤しか感じない音への移行。それでも過渡期の作品として「Movement」は素敵ですが。その後、天性のアホバンドとしてNeworderは開花す(以下略)
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コメント

Oyadorobou様 こんばんは

ドイツのニューウェイヴって初めて聴いたかもしれません。
Palais Schaumburg、お茶目な実験精神が素敵です。
確かに2曲目の競歩みたいな曲はせせこましい。
面白かったです。

リーダー不在のバンド作ってわびしいものが多いですね。

  • 2014/03/20(木) 23:56:14 |
  • URL |
  • GAOHEWGII #-
  • [ 編集 ]

GAOHEWGII様

この人たちの1stは石野卓球も絶賛しているらしいですよ。1stはもっとA Certain ratioの初期なんかに近い音です。

リーダー脱退後に華開いたDepeche Modeのような例もありますが…、稀ですよね…

  • 2014/03/24(月) 07:21:04 |
  • URL |
  • Oyadorobou #-
  • [ 編集 ]

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